火曜日, 3月 06, 2007

わたくしといふ現象は

  わたくしといふ現象は
    仮定された有機交流電灯の
      ひとつの青い照明です
       (あらゆる透明の幽霊の複合体)
  風景やみんなといっしょに
    せはしくせはしく明滅しながら
      いかにもたしかにともりつづける
       因果交流電灯の
        ひとつの青い照明です

詩集「春と修羅」序の冒頭部分。作成は大正十三年一月となっている。
法華経に傾倒していた宮沢賢治が、自費出版した初めての詩集である。
もっとも賢治は詩集とは云っていない。「心象スケッチ」と呼んでいる。
冒頭の9行に、賢治の宗教観・世界観を意図的に込めたように思っている。
仏教の核心部分でもある。 

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