ビールは御座りませんばってん、恵比寿なら御座ります。
漱石の『二百十日』に登場する下女の有名な受け答えである。当時の『恵比寿ビール』の寡占具合が想像できる。さて、漱石が宿泊した『養神館』(現在名は山王閣)に相方と2人過ごしてきた。ロビーには、お魚を両脇に抱えた恵比寿様が貼られた希少性の高い1瓶がショーケースに飾られていた。昭和40年前後に建てられたと思われる本館は流石に古く、宿の苦境を感じさせるのに充分であった。広いロービーには漱石ゆかりの人達のパネルが展示されており、目をやるだけでも楽しめた。夕食には、恵比寿ビールが1本付いて、馬刺しにあか牛の陶板焼きなど地のものがいただけた。かけ流しの湯は面白いことに混浴露天風呂だった。午後9時過ぎだったか露天に入ろうとしてドアを開けた瞬間、8人ほどの女性陣が一斉に振り返った。慌ててドアを閉め、内湯に戻っただろう頃を見計らって再度露天に入った。2人の若い女性が残っていたものの、おかまいなく夜風とぬるめの湯に浸かった。
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