水前寺駅に佇んで思ったこと
熊本市での営業の際、技術員と待ち合わせをしたり宿泊する拠点として水前寺駅を利用している。10年以上になるが、先日技術員の到着を待つあいだ風景に目をやっていると、「本当にマンションだらけになったな~~」と自然と言葉がでた。分譲マンションを購入する客が後を絶たないから需要と供給の関係で建設するのだろうが、冷静になって考察してみたい。
熊本市の置かれた状況は、①市民の高齢化、②中心部商業地の衰退、③基幹産業不在経済の建て直し、④少子化、⑤観光客の減少、など厳しいものだ。慢性的な交通混雑の緩和対策は当然として、②③⑤は特に重要だ。その中でも、熊本市は③が特徴だ。基幹産業が無いにも関わらず県庁所在地として存在し得ているのは、熊本県内の中央集権体制下の恩恵、県内の流通基地としの役割、九州郵政局や九州農政局・NTT九州の存在もある。製造ライン装置メーカーの「平田機工」や電気工事会社の「西部電気」などの本社あるが雇用人数は限られている。ホンダ熊本製作所、東京エレクトロン九州、ソニー九州は熊本市北東に構えていて、熊本市が是非とも住んでもらいたい労働者は皮肉にも熊本市周辺の自治体に集中している。したがって熊本県で最も世帯あたりの収入が高いのは合志市など北東地帯に固まっている。また、2011年に九州新幹線が全面開通すると、熊本駅と博多駅は約35分で結ばれることになる。消費者を人気商業地(福岡天神、博多)に吸い寄せるストロー現象が加速化されるだろう。熊本市内と福岡天神往復3600円の高速バスは人気を呼んで久しい。JRが対抗値下げを実施しているためさらに福岡との距離は縮まっている。
水前寺駅前のマンションを購入検討している団塊Jrの新婚さんやヤングファミリーは、熊本市勢の衰退が避けられない事実を直視した上で判断してもらいたいものだ。定年を控えて購入される方達、団塊Srはその限りではない。ただでさえ、熊本市には官公庁を筆頭にこの世代層が群を抜いて多い。仲間が増える程度の話だ。「団塊世代が群を抜いて多い」、これが熊本市衰退を予測して憚らない根拠だ。
彼等が退職金を元手に消費の中心へ回るという予測は、老後の不安に直面する年齢である事と既にマンションを購入して支払いに苦慮している娘一家・息子一家への援助が不可欠である事情が重なって許さないはずだ。水前寺のマンションを購入するドラ娘一家、ドラ息子一家も親の退職金を頼りにしているのだろう・・・・・嘆かわしい話だ。
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