金曜日, 11月 03, 2006

若者は、なぜ3年で辞めるのか?

 著者は富士通人事部で成果主義導入に携わっていた。2冊目の著書になる。
1990年代バブル崩壊直後に既に年功序列制度は崩れ始めていたのだ、と指摘する。それを守るため新規採用を減らし派遣社員でまかなってきた企業では、能力主義導入と謳っても根幹では年功序列制度を捨て切れていない、と続ける。20代、30代前後半まで人一倍働かされ給料は大きく上がらずとも、いすれは先輩方のように年功序列で収入増になり収支はとんとんになるのだ、と諭され気を取り直して頑張るのがサラリーマンであった。ところが、今日では同じように20代、30代に身を粉にして働いて実績を上げたとしても、収支とんとんにならない現実に直面し大きな閉塞感を覚え辞めてしまうのだ、と主張する。「20代は我慢が足らない、雑用をキチンとこなしていい仕事は30過ぎてから」、というのが企業側の見方だが、現実にはいい仕事(クリエイティブ)をさせてもらえる、いやできる保証は全くなくなっている。最悪、一生下働きで終わるケースも想定され、30代のサラリーマンで既に壊れかけている人間を多く散見する、と筆者は主張し日本の将来が危惧されると結論づけている。
 総論わたしも同感だ。しかし、壊れだして最も危険なのは40代のサラリーマンである。借金がぶ飲みの標準的家庭(持ち家、子供2人、親が大卒で子供も大学まで進学させる)では、勤務先のの将来的構図がハッキリ掴めたとしても、それに対して対策を打つ能力も余力も無い家庭が大半である。絶対資格(医者、弁護士、公認会計士など)でも有していない限り、中小企業に移籍した場合には上場企業の年収の3分の2、最悪半分だ。我が身に迫る内容であった。

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